和文モールス符号の仕組みと濁点・半濁点の表記ルール
日本語特有のモールス信号はどう打つ? 五十音の成り立ちから、「ガ」「パ」「促音(っ)」の送り方まで丁寧に解説。
例:カ ・-・・ + 濁点 ・・ = ガ
例:ハ -・・・ + 半濁点 ・・--・ = パ
1. 和文モールス符号とは?欧文モールスとの違い
モールス信号といえば英語のアルファベット(欧文モールス:A〜Zの26文字)が世界共通ですが、日本には日本語の五十音(イロハ順)を直接電送するために考案された独自の規格「和文モールス符号」が存在します。
明治初期(1869年)に電信網が整備された際、五十音の各カナに符号が割り当てられました。アマチュア無線の国家資格試験(第一級・第二級総合無線通信士など)でも実技試験の対象として現在も受け継がれています。
2. 濁点・半濁点の送り方ルール
和文モールスには「ガ」や「バ」専用の単一符号はありません。清音を送った直後に濁点符号「・・(短点2つ)」を結合して1文字として表します。
| 文字 | 送信順序 | モールス符号 |
|---|---|---|
| ガ | カ + ゛ | ・-・・ ・・ |
| ダ | タ + ゛ | -・ ・・ |
| パ | ハ + ゜ | -・・・ ・・--・ |
| ポ | ホ + ゜ | -・・ ・・--・ |
※ 当サイトの変換ツールでは、日本語の「ガ」や「パ」を入力すると自動で清音と濁点符号に分解して正確に出力します。
3. 小さい「っ」「ゃ」や長音記号「ー」はどう打つ?
- 促音・拗音(っ・ゃ・ゅ・ょ):
日本語の促音(っ)や拗音(ゃ、ゅ、ょ)は、モールス信号ではすべて通常の大きい文字(つ、や、ゆ、よ)と同じ符号として扱われます。
- 長音符(ー):
長音「ー」には専用の符号「・--・-(トントンツートンツー)」が割り当てられており、外来語やカタカナ語の電送で頻繁に使用されます。
日本の郵便・電信の父「前島密」と和文モールスの誕生
欧米で実用化されたモールス電信は、明治2年(1869年)に東京・築地と横浜・裁判所の間で日本初の電信線が開通したことで日本に上陸しました。当初はアルファベットの欧文通信しかできませんでしたが、「日本の郵便・電信の父」として知られる前島密(まえじま ひそか)や当時の工部省電信局の技術者たちにより、日本語の五十音(イロハ順)をアルファベット符号に割り当てた独自の「和文モールス符号」が考案・制定されました。
「サクラサク(合格電報)」:
-・-・(サ) ・-・・(ク) ・・・(ラ) -・-・(サ) ・-・・(ク)
「ハハキトク(至急連絡)」:
-・・・(ハ) -・・・(ハ) -・-・・(キ) -・(ト) ・-・・(ク)
和文通信だけの特殊な略符号(「ホレ」と「ラタ」)
アマチュア無線や業務用電信において、欧文通信と和文通信を切り替える際には、日本国内電信規則に定められた独自の運用プロサインが使われます。
欧文で交信を始めた後、「これから和文(日本語)で送信します」と相手に知らせるための合図。文字間スペースを空けずに「ホ(-・・)」と「レ(・-・)」を続けて打ちます。
欧文の「SK」に相当する和文モールスの交信終了符号。「ラ(・・・)」と「タ(-・)」を連続して送出します。
和文モールス符号に関するよくある質問(FAQ)
Q. 和文モールスで「濁点(゛)」はどうやって送りますか?
和文モールス信号では、清音(元の文字)を送った直後に濁点記号「・・(トントン)」を送ります。例えば「ガ」を送る場合は、「カ(・-・・)」の後に「濁点(・・)」を続けて送出します。
Q. 「半濁点(゜)」のモールス符号は何ですか?
半濁点は「・・--・(トントンツーツートン)」という符号です。例えば「パ」を送る場合は、「ハ(-・・・)」の後に「半濁点(・・--・)」を続けて送信します。
Q. 「っ」や「ゃ」などの小さい文字(促音・拗音)はどう扱われますか?
公式な電報や無線電信の規則では、小書き文字は区別せず、すべて大文字の「ツ」や「ヤ」と同じ符号で送出されます。受信側が前後の文脈から判断します。